更新のしかた
新しい論文をいつ探し、何が起きたら記事を書き換えるのか。探す頻度、書き換えの基準、変えたあとに残す記録までを、あらかじめ決めて公開しています。
いつ、何を探し、どうなったら書き換えるか
このサイトは、一度書いた記事をそのままにしません。新しい論文が出れば書き換え、支えを失った記述は取り下げます。ではどのくらいの頻度で探し、何が起きたら書き換えるのか。その決め事を、あらかじめここに出しておきます。
この方針を変えたときも、変えたことがこのページに残ります。
もとになった考え方
医学の分野に、更新し続ける総説という営みがあります。あるテーマについて関係する研究を集め、ひとつずつ質を確かめ、全体として何が言えるかをまとめる——この作業を系統的レビューと呼びます。ふつうは一度作ると数年そのままですが、新しい研究が出るたびに更新し続けるやり方が近年広がりました。「生きた(living)」と呼ばれるのはその部分です。
その手引きを読むと、更新を続けるために大事だとされていることが、いくつか挙がっています。このサイトは、そのうち3つを借りています。
- 探す頻度と方法を、あらかじめ決めて公開する(→ 下の「何を、どのくらいの頻度で探しているか」)
- 結論を変えるかどうかの基準を、先に決めておく(→「どうなったら書き換えるか」)
- 変えたときは、何をどう変えたかを残す(→「変えたあとに残すもの」)
何を、どのくらいの頻度で探しているか
探す作業と、記事に反映する作業は別々に動いています。
| 何を | どこを見るか | 頻度 |
|---|---|---|
| 新しい論文を探す | 医学・食品科学の文献データベース(PubMed/Europe PMC)。前回探した日以降に出たものに絞り、決まった検索語で当てます | 毎日 |
| 総説・規格の改訂を見る | 同じテーマの総説が新しく出ていないか。業界規格が改訂されていないか | 月1回 |
| 記事に反映する | 原本のどこが変わったかを機械で検知し、その記事だけを作り直します | 毎週 |
記事によって、見る頻度を変えています。争点が動いているもの、まだ誰も測っていない部分があるものほど、よく見ます。逆に、化学の基礎に近くて短期には覆りにくいものは、頻度を落としています。
| よく見るもの | 争点が決着していない、または「まだ測られていない」と本文に書いてある論点。透過式の不均一な流れ、微粉の移動、濃度と知覚のあいだ、豆への熱の入り方など |
| 規格が動いたら見るもの | 根拠が業界規格の文書にあるもの。水質、官能評価の様式など |
| 頻度を落とすもの | 反応速度論など、化学の基礎に近く、短期に覆りにくいもの |
どの記事がどの区分かは、各記事の冒頭に出している「信頼度」とおおむね対応します。
どうなったら書き換えるか
新しい論文が見つかっても、すぐ記事を直すわけではありません。3つの関門を順に通します。
1. その記事の問いは、まだ意味を持っているか。検証しようとしていた通説そのものが、もう誰も言わなくなっていないか。まだ実務の判断に関わるか。
2. 新しい証拠、または新しい測り方があるか。論文だけでなく、「これまでと違う測り方が出てきた」も含みます。同じ結論でも、測り方が変われば読み方が変わるからです。
3. それを入れたら、記事の結論が変わりそうか。ここまで来て初めて、書き換えに着手します。
3つ目の「変わりそうか」は、4段階に分けています。段階によって、記事のどこまで直すかと、「今週の更新」でどう扱うかが変わります。
| どう変わるか | 記事をどう直すか |
|---|---|
| 結論は変わらない | 出典を1件足すだけ。本文はそのまま |
| 留保が動く | 「ただし」の部分を書き換え、信頼度を見直す |
| 結論が動く | 冒頭の「結論から」を書き換える。「今週の更新」の先頭に出します |
| 主張が否定された | 結論を書き換え、旧い記述を「いま取り下げている記述」の表に移して理由を書きます。消しません |
下の2段は、必ず人が目で見て決めます。機械が「結論が変わった」と判定したものを、そのまま出すことはしません。
変えたあとに残すもの
- 各記事の冒頭に「最終更新」の日付。その記事がいつの時点のものかが分かります。
- 各記事の末尾に「改訂の記録」。いつ、何を、なぜ変えたか。直近のものを開いた状態にしてあります。
- 各記事の末尾に「いま取り下げている記述」。支えを失った記述を、消さずに理由つきで残します。間違えていたことを消さないのは、この方式の核です。
- 毎週の「今週の更新」。その週に何が変わったかを一覧にします。読み方が変わるほどの更新は、先頭に別枠で出します。
していないこと
医学の系統的レビューには決まった手続きがあります。このサイトはそのどれも踏んでいません。借りているのは考え方だけです。
| 検索式の事前登録 | どういう言葉でどう探すかを、前もって第三者に登録していません |
| 複数人での独立した選別 | 拾った論文を採るか捨てるかを、二人が別々に判断して突き合わせる——ということをしていません。読んでいるのは一人と、作業を手伝う言語モデルです |
| 決まった手順でのバイアス評価 | 一本ずつ定型の様式で偏りのリスクを採点する、ということをしていません。弱点は本文に文章で書いています |
| メタ分析 | 複数の研究の数値を統計的に統合する、ということをしていません |
| 網羅性の保証 | 「探した範囲では見つからなかった」までしか言えません。「存在しない」とは言えません。本文でも、そう書き分けています |
記事の冒頭に出している「信頼度」も、確立した評価体系ではありません。「どれくらい確かか」を筆者が4段階で見立てた目安です。医学で使われる標準的な採点方式とは関係がありません。
この方針そのものを見直すとき
頻度や基準を変えたときは、このページを書き換えたうえで、「今週の更新」に出します。方針を黙って変えることはしません。まちがいを見つけたときも同じで、何をどう直したかを残します。