コーヒーの焙煎色が同じなら、味も同じ?

焙煎色をそろえれば味もそろう、と品質管理ではよく言われます。色が同じなら、味も同じなのでしょうか。

回答

焙煎色が同じでも、味が同じになるとは限りません。色は焙煎による風味の違いを捉える有用な指標ですが、同じ色に着くまでの加熱時間や時間配分の違いを、すべて表すことはできません。品質管理では色をそろえたうえで、時間の記録と実際の味も比べる必要があります。

なぜそう言えるか

Münchow ら (2020)は複数の焙煎研究をまとめ、調べた条件では焙煎色が風味をよく説明する指標になることを示しています。まず色を記録して比べることには、実験に基づく理由があります [Munchow2020]

ただし「色と風味が強く関連する」ことは、「色が一致するすべての試料で風味も一致する」という意味ではありません。試料間の大きな傾向をつかむ力と、個別の二つの焙煎を同じと判定する力は、分けて考える必要があります [Munchow2020]

Alstrup ら (2020)は、同じコーヒーで到達色をAgtron76±1にそろえ、1ハゼ開始から排出までのディベロップ時間を変えました。その結果、官能評価と化学分析の両方に差が出ました [Alstrup2020]

この実験でディベロップ時間を長くした側は苦味やロースト感が強く、短くした側は酸味やフルーティさが強くなる傾向でした。ただしこの向きは、研究で使った豆と焙煎条件での結果であって、全コーヒーに共通する味の処方ではありません [Alstrup2020]

二つを合わせると、「色を測る意味はない」と捨てるのでも、「同じ色だから仕上がりも同じ」と決めるのでもありません。色を比較の基準にしながら、そこへ至る時間の情報と官能評価を足していくのが、妥当な読み方です [Munchow2020] [Alstrup2020]

この話が効いてくる場面

日々の焙煎で色は合っているのにカップがずれるときや、短時間と長時間の焙煎を比べるときに役立ちます。実務上は、測色の機器と試料の扱いをそろえ、同じロットについて色、総時間、1ハゼ後の時間、ブラインドでの味の記録を並べると、何が一致し何が違うかを整理しやすくなります。別の豆へ替えた比較では原料自体も変わるので、その差まで時間配分だけで説明しないことが大切です。

もっと詳しく

有料記事では、同一の焙煎色でも成分が異なる実測と、褐色の成分であるメラノイジンを色だけでは読めない理由を解説しています。

焙煎色とメラノイジン — 色は、進行度を測っていない

この論点の文献一覧

「よくあるご質問」の一覧

作成:2026年9月20日 改訂:2026年9月22日