焙煎のRoRとDTRをそろえれば、おいしくなる?

RoRとDTRをそろえれば同じ味に近づく、とよく言われます。この目安は、どこまで当てにできるのでしょうか。

回答

RoRとDTRは焙煎の経過を比較する指標ですが、そろえるだけで味の良さや同じ風味を保証するものではありません。RoRは温度の上がる速さ、DTRは総焙煎時間に占める1ハゼ開始後の時間の割合です。DTRの「20〜25%」も、あらゆる機械・豆・焙煎度に共通する合格基準としては使えません。

なぜそう言えるか

Scott Rao (2016)は、DTR20〜25%を薦めた理由を、自分の焙煎記録とカップ評価の経験として説明しています。その相関は証明ではないこと、主に従来型のドラム機と特定の排出範囲を想定した指針であることも、本人が書いています [Rao2016]

同じ発信では、焙煎機の加熱能力と投入量の関係によって、目標の比率を下げる場合にも触れています。比率だけを取り出してどの焙煎にも一律に当てはめる読み方は、提唱者自身の説明とも合いません [Rao2016]

DTRは「1ハゼ開始から排出までの時間÷総焙煎時間×100」です。総時間10分で1ハゼ後2分と、総時間15分で1ハゼ後3分は、どちらも20%ですが、実際に加熱している時間は違います(定義から作った計算例) [Rao2016]

Alstrup ら (2020)は、到達する焙煎色をそろえ、1ハゼ後のディベロップ時間を変えたコーヒーで、官能特性と化学組成の差を測りました。割合や色といった一つの数値だけでは、仕上がりを代表しきれないことを考える材料になります [Alstrup2020]

ただしこの実験は、RoRの曲線の形そのものの優劣を独立に判定したものではありません。「減衰するRoRに効果がない」という結論にも使えないので、実務家の指針と対照実験が、それぞれ何を支えているかを分けて読みます [Alstrup2020]

この話が効いてくる場面

別の焙煎機へ条件を移すときや、DTRは同じなのに味が変わる理由を探すときに役立ちます。比較記録には比率に加えて総時間、1ハゼの開始時刻、1ハゼ後の実時間、到達色とカップ評価を残し、開始の判定方法もそろえると、割合の裏に隠れた違いを追いやすくなります。これは特定の数値へ誘導する処方ではなく、味と記録を照合するための提案です。

もっと詳しく

有料記事では、RoR・DTRの提案の来歴、適用範囲、測定に左右される点を出典とともに整理しています。

RoR と DTR — 数字を目標にする前に、数字の来歴を知る

この論点の文献一覧

「よくあるご質問」の一覧

作成:2026年9月20日 改訂:2026年9月22日