RoR と DTR — 数字を目標にする前に、数字の来歴を知る

上昇率を滑らかに下げ続け、1ハゼ後を全体の 20〜25% にする。現代の焙煎プロファイル設計で最もよく使われるこの処方は、再現性を作る道具としてよくできています。ただし、普遍的な最適解として実験で証明されたものではありません。そう言えるのは、提唱者自身がそう書いているからです。この記事では、この2つの数字がどこから来たのか、何を測っていて何を測っていないのかを順に見ていきます。

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焙煎の科学
最終更新: 2026-09-14 / 信頼度: 中〜高(対照実験は査読論文。処方の側は実務者の遡及的な観察で、本文で区別します)
専門用語は出てくるたびに説明します。予備知識は要りません。

結論から

  • RoR は温度計の読み値の傾き、DTR は時間の比である。どちらも豆の中の反応を測る計器ではない。ただし「測っていない」は「役に立たない」ではなく、記録として残す分には十分に働く。
  • 「DTR 20〜25%」の出所と根拠は確定している。2万を超える記録のうち最良と評価した20焙煎の共通点を後から探した相関で、対照群はない。Rao (2016)自身が「それは何かの証明ではない」と書いている。
  • 焙煎色を揃えてディベロップ時間だけを振ると、Body 以外のすべての官能記述子に有意差が出た。ただしこれは「色は無意味」ではなく、色を揃えて初めて、色が捨てている履歴の差が見えたという結果である(Alstrup ら 2020)。
  • 同じ色に到達しても DTR は揃わない。同一の到達色で焼いた12条件で、DTR は 20.0% から 59.1% まで約3倍に散っている(Al-Shemmeri 2024)。ただしこの機械は Rao 自身が適用範囲の外と書いた方式で、反証ではなく但し書きの裏付けである。
  • 「同じ色」を測る手続きのほうが、色そのものより揺れている。同じ焙煎豆でも、挽き目を変えるだけで測色値は 22 ポイント動いた(Luther ら 2023)。ただし篩う範囲を揃えれば、装置のノイズは実質無視できる水準まで下がる。

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透過式の不均一な流れ — 自己増幅するしくみと、測られていない一段目

同じ粉を同じ量、同じ湯で淹れても、味が揃わないことがあります。原因としてよく挙がるのが「チャネリング」、つまり湯が粉の層の一部だけを通り抜けてしまう現象です。たいていの説明はここで止まります。この記事はその先を見ます。不均一な流れ(不均一抽出)は偶然のムラではなく、自分で自分を大きくするしくみを持っている。ただし、そのしくみの一段目は、まだ誰も測っていません。

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湯温は手段であって目的ではない — 抽出変数が味に届く経路

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メラノイジンが足しているもの — 収斂味と、「量が動く」という話の中身

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濃度と知覚のあいだ — 同じ量のカフェインが、同じ強さに苦くない

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