濃度と収率 — コーヒー抽出を2本の軸で読む
抽出の話は、器具の名前や手順の作法から入ると際限がありません。濃度と収率という2本の軸、屈折計で測る濃度とそこから求める収率を並べたブリューイングコントロールチャートの平面を先に置くと、ほとんどの議論がその平面上のどこかの話に整理されます。この記事では、その平面がどう作られ、どこまで信用でき、どこから先が未解明なのかを順に見ていきます。
結論から
- 抽出は濃度(TDS)と収率(PE)という独立した2軸で書ける。3つ目の量であるブリューレシオは、この2つが決まれば自動的に決まる。追加の物理ではなく、質量保存だけで閉じる。
- 「全員にとっての理想の1点」は存在しない。消費者の嗜好には少なくとも2つのクラスターがあり、片方は古典的な中央付近を、もう片方は左右両端を同程度に好む。
- 甘さは薄いほうで最大になる。低濃度は「弱い」のではない。そして甘さの担い手は糖ではないことまでは分かっており、その先は空白のままである。
- 粒度は平均値では記述できない。分布の「幅」そのものが抽出に効く。粒径をそろえると、浸漬式では抽出が大きく落ちる。
- 微粉が味を悪くするかは、まだ決着していない。解釈が割れているからではなく、決着させられる実験がまだ行われていないからである。