欠点豆のゼロトレランスに根拠はあるか — 測られた閾値は、規格より一桁ゆるい

欠点豆は一粒も入れてはいけない、と言われます。スペシャルティの規格も、焙煎豆のクエーカーの基準も、許容数は 0 個です。ところがこの「0」は、味の実験から出てきた数字ではありません。そのことを、規格を作っている側の研究機関が公式に認めています。では味の側の数字はいくつなのか。実測された値が一つだけあり、それは規格より一桁ゆるい値でした。

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焙煎の科学
最終更新: 2026-09-14 / 信頼度: (実測は一次論文2本。ただし用量応答曲線はまだ無い)
専門用語は出てくるたびに説明します。予備知識は要りません。

結論から

  • 「欠点ゼロ」は、官能科学で確かめられた味の閾値ではない。業界規格を作る側の傘下機関が、物理的な欠点と官能への悪影響を結ぶ研究は不足しており、現行の生豆格付け基準は伝統に基づくものだと公式に述べている(Coffee Science Foundation / SCA 2025)。ただしこれは規格が不要だという意味ではなく、規格は取引の共通言語として別の仕事をしている。
  • 混入率を振って味を測った実験があるのは、いまのところクエーカーだけ。カップ 65 粒中 7 粒(10.8%)から総合スコアが対照と有意に差がつき、80 点を下回った(Rabelo ほか 2021)。ただしブラジル産ナチュラル精製の特定ロット、評価者は資格保持者 5 名、対象は淡い色群という条件付きの値である。
  • 淡く見える豆のすべてが味を落とすわけではない。同じ実験のブラウン系の群は、65 粒中 30 粒(46.2%)入れても総合スコアにも個々の属性にも有意差が出なかった。著者はこの群をクエーカーと見なすべきではないとしている(Rabelo ほか 2021)。見た目の淡さと、味への危険度は同じものではない。
  • 黒豆とサワー豆は、同じ熱を与えても焙煎が進まない。同一バッチで焙煎した比較で、乾物質量の減少率も成分の分解率も低く出た(Franca ほか 2005)。ただしこの実験は対流式のオーブンで 200℃・1 時間という実務から遠い条件で、混入率も振っていないし官能評価もしていない。
  • クエーカー以外の欠点に、実測された閾値はまだ一つも無い。12 種の欠点について測る研究が進行中だが、結果は未公表である(Coffee Science Foundation / SCA 2025)。したがって「何 % まで大丈夫」を数値で言えるのは、現時点ではクエーカーだけ。

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