抽出温度と味 — 濃度と収率の違い

コーヒーに水を足すと、薄くなります。でも、すでに溶けていたコーヒーの成分が減ったわけではありません。成分の量はそのまま、水が増えて、液全体の中で成分が占める割合が小さくなったのです。この割合が濃度です。

COFFEE PAPER STUDIO / 抽出温度と味 / はじめの一歩

このページだけでも読めます。興味のある部分だけ読んでも構いません。基礎になじみがある方は、図から読み解く「後から落ちるコーヒーは、全部の味が弱くなる?」へ進んでも構いません。
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濃度と収率

「薄くなった」は、成分が減ったのではなく、
濃度が下がったということ。

コーヒーに水を足すと、薄くなります。でも、すでに溶けていたコーヒーの成分が減ったわけではありません。成分の量はそのまま、水が増えて、液全体の中で成分が占める割合が小さくなったのです。この割合が濃度です。

水を足す前後で溶けた成分3gは同じ。液は200gから300gへ増える。 水を足す前水を足した後 液 200g液 300g水100gを足す成分は3g成分は3gのまま濃度 1.5%濃度 1.0%
水を足す前と後。溶けている成分 3g は同じで、液の量だけ増える。

「1%」は、全体100に対して1、という意味。

この教材では、液や成分の量を質量しつりょう(mass)(g)で比べます。液100gの中に溶けた成分が1gあれば、濃度のうど(concentration)は1%。その液200gに成分が3gあれば、100gあたりでは1.5gなので、1.5%です。

論文で出てくるTDSティーディーエス(Total Dissolved Solids)は、液に溶けている成分をまとめて「溶けた固形分」と呼び、その濃度を表したものです。「甘味の成分だけ」「苦味の成分だけ」の量ではなく、まとめた割合です。

では、「収率」は何を比べている?

濃度が「出来上がった液のうち、どのくらいが成分か」を見るのに対し、収率しゅうりつ(extraction yield; EY)は「元の粉から、どのくらい取り出せたか」を見ます。同じ3gでも、比べる相手が違います。ここがこのページでいちばん大事なところです。

同じ3gを液200gと比べると1.5%、元の粉15gと比べると20%。 カップに溶けている成分 3g 出来上がった液200gと比べる3 ÷ 200 × 100 = 1.5%濃度(TDS)元の粉15gと比べる3 ÷ 15 × 100 = 20%収率(EY)同じ3gでも、「何と比べるか」で数字が変わる。
同じ 3g でも、比べる相手が違う。左が濃度(TDS)、右が収率(EY)。
まとめ

濃度(TDS):出来上がったと比べる、溶けた固形分の割合。
収率(EY):元のと比べる、溶けた固形分の割合。

計算を一緒にたどる(飛ばしても大丈夫)
  1. 液200g、濃度1.5%なら、溶けた成分は 200 × 1.5 ÷ 100 = 3g
  2. 元の粉が15gなら、カップに回収した成分の割合は 3 ÷ 15 × 100 = 20%
  3. 水100gを足すと液は300g。成分3gのままなので、濃度は 3 ÷ 300 × 100 = 1%

注いだ湯200gと、出来上がった液200gは同じとは限りません。粉に水が残るためです。計算には、何の質量を使っているかを確認しましょう。

このページの用語

用語の読み方と英語
用語読み英語
質量しつりょうmass
濃度のうどconcentration
TDSティーディーエスtotal dissolved solids
収率しゅうりつextraction yield
ふりかえり

同じコーヒーに水だけ足したら、濃度と、カップにある成分の量はどうなりますか?

説明を読む

濃度は下がり、成分の量は変わりません。

出典:Batali ら (2020:分画の研究、抽出温度の研究)。

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