基礎

抽出

湯温は手段であって目的ではない — 抽出変数が味に届く経路

抽出の解説は、たいてい設定値の列で書かれています。「湯温(抽出温度)は93℃」「挽き目は中細」「比率は1対16」。ところが少なくとも湯温については、設定値そのものが味を決めているのではないことを示す実験があります。変数は、いったん別の量に変換されてから味に届いている。この記事では、その経路がどこを通っているのか、経路をたどらずに味へ抜ける例外は何なのかを順に見ていきます。

lock-1

抽出

透過式と浸漬式 — 方式の差は、溶媒が入れ替わるかで決まる

抽出器具の解説は、たいてい器具の名前から始まります。ペーパードリップ、フレンチプレス、エアロプレス、エスプレッソ、水出し(コールドブリュー)。けれども、これらを本当に分けているのは圧力でも形でもありません。粉の粒子のまわりにある液が、入れ替わるかどうか。その一点です。この記事では、その一点がどこまでのことを決めていて、どこから先がまだ測られていないのかを順に見ていきます。

lock-1

抽出

攪拌が動かしているのは平衡までの距離 — 混ぜることの上限

「よくかき混ぜたほうがよく抽出される」。直感としては自然ですが、この文はそのままでは正しくありません。攪拌が効くかどうかは、その抽出が終点からどれだけ手前にいるかで決まります。そして手前にいる場合でも、攪拌が稼げる量には早い段階で頭打ちが来ます。この記事では、混ぜることが何を動かし、何を動かせないのかを順に見ていきます。

lock-1

抽出

濃度と収率 — コーヒー抽出を2本の軸で読む

抽出の話は、器具の名前や手順の作法から入ると際限がありません。濃度と収率という2本の軸、屈折計で測る濃度とそこから求める収率を並べたブリューイングコントロールチャートの平面を先に置くと、ほとんどの議論がその平面上のどこかの話に整理されます。この記事では、その平面がどう作られ、どこまで信用でき、どこから先が未解明なのかを順に見ていきます。

lock-1

焙煎

温度で買うか、時間で積むか — 活性化エネルギーの非対称

焙煎の反応に「開始温度」はありません。温度を上げれば反応速度が連続的に速くなるだけです。その速くなり方は反応ごとにまるで違い、温度を上げれば大きく増える反応と、温度を上げてもほとんど変わらない反応があります。この非対称が、焙煎で何が作れて何が作れないかを決めています。

lock-1

焙煎

反応はいつ始まるのか — 「140℃から」の正体

焙煎の解説書には、よく温度の表が載っています。「100℃で乾燥、140℃でメイラード、170℃でカラメル化、190℃で1ハゼ」。覚えやすくて便利です。ただし、化学の側にはそういう境目がありません。この記事では、なぜ無いのか、では何が書いてあったのか、そして境目が無いと分かると何が変わるのかを順に見ていきます。

lock-1

焙煎

コーヒー焙煎のいまの理解 — 確かなこと、争点、埋まらない空白

焙煎の知識は、温度の表と色見本と「◯◯理論」という形で流通しています。ところが査読論文の側から読み直すと、そのいくつかは支えを失い、いくつかは残り、いくつかは「まだ誰も測っていない」ことが分かります。この記事は、そのどれがどれなのかを一望するための地図です。結論と、その確からしさの度合いだけを置きます。個々の論拠は、それぞれの記事にあります。