焙煎
焙煎を式で読む — 平均が合っても、豆の中身は同じとは限らない
焙煎モデル(焙煎の数理モデル)というと、「次に何度になるかを当てる道具」だと思われがちです。ところが論文を並べてみると、同じ「モデル」という言葉が三つの別々の問いに答えていることが分かります。そして、平均の豆温と平均の水分が実測とぴったり合っているモデルでも、豆の内部で何が起きているかは決まりません。三つの系統が何を測り何を測っていないのか、そして共通する土台がどこまで確かめられているのかを見ていきます。
焙煎
焙煎モデル(焙煎の数理モデル)というと、「次に何度になるかを当てる道具」だと思われがちです。ところが論文を並べてみると、同じ「モデル」という言葉が三つの別々の問いに答えていることが分かります。そして、平均の豆温と平均の水分が実測とぴったり合っているモデルでも、豆の内部で何が起きているかは決まりません。三つの系統が何を測り何を測っていないのか、そして共通する土台がどこまで確かめられているのかを見ていきます。
焙煎
「糖を残せば甘くなる」という説明は、コーヒーでは途中までしか正しくありません。実際に測ると、抽出液の糖は人が甘さを感じ取れる濃度に届いていない。それでもカップの甘さは実在し、試料によってはっきり差がつきます。では、何が甘いのか。糖が落ちる理由、鼻から入る香りの分、他の味からの抑制、そして採点用紙の「Sweetness」欄が測っているものを、順に分けていきます。
焙煎
上昇率を滑らかに下げ続け、1ハゼ後を全体の 20〜25% にする。現代の焙煎プロファイル設計で最もよく使われるこの処方は、再現性を作る道具としてよくできています。ただし、普遍的な最適解として実験で証明されたものではありません。そう言えるのは、提唱者自身がそう書いているからです。この記事では、この2つの数字がどこから来たのか、何を測っていて何を測っていないのかを順に見ていきます。
焙煎
欠点豆は一粒も入れてはいけない、と言われます。スペシャルティの規格も、焙煎豆のクエーカーの基準も、許容数は 0 個です。ところがこの「0」は、味の実験から出てきた数字ではありません。そのことを、規格を作っている側の研究機関が公式に認めています。では味の側の数字はいくつなのか。実測された値が一つだけあり、それは規格より一桁ゆるい値でした。
焙煎
「水分が多い豆は焼きにくい」「高密度の豆は熱が要る」「発酵系は細胞壁が脆いから熱が入りやすい」。生豆についてよく言われるこの三つは、根拠の強さがまるで違います。一つ目には同じ豆を使った対照実験があり、二つ目は実務者の一致であって測られた式ではなく、三つ目を支える測定は存在しません。この記事では、水分値(含水率)・密度・精製(ウォッシュト/ナチュラル)のどの性質が、どの証拠で、どこまで焙煎を動かすと言えるのかを分けて見ていきます。
焙煎
ドラム式は伝導、熱風式は対流。そして「対流70:伝導30」という割合がよく引かれます。けれど、この割合には測定も計算も付いていません。しかも、私たちが焙煎ログで見ている豆温(豆温度)は、豆の温度そのものではありません。プローブ自身の予熱と蓄熱(熱慣性)が読みに混ざっています。熱が豆へ入る経路について、何が確かめられていて、何がまだ測られていないのかを分けていきます。
焙煎
焙煎で豆が褐色になる(褐変する)のは、メラノイジンという高分子が生まれるからです。ではその色、アグトロン値のような焙煎度の指標は、反応がどこまで進んだかを表しているのか。表していません。同じ色に別の道筋で到達した豆は中身が違いますし、条件を揃えると色とメラノイジンは逆向きに動くことさえあります。
焙煎
クロロゲン酸そのものは苦くありません。苦いのは分解生成物で、しかも段階によって質の違う二種類の苦味になります。さらに「エグみ」「渋み」と呼ばれる収斂味は、苦味とは別の感覚系統に属します。この記事では、その三つを分けて扱います。
焙煎
焙煎の反応に「開始温度」はありません。温度を上げれば反応速度が連続的に速くなるだけです。その速くなり方は反応ごとにまるで違い、温度を上げれば大きく増える反応と、温度を上げてもほとんど変わらない反応があります。この非対称が、焙煎で何が作れて何が作れないかを決めています。
焙煎
焙煎の解説書には、よく温度の表が載っています。「100℃で乾燥、140℃でメイラード、170℃でカラメル化、190℃で1ハゼ」。覚えやすくて便利です。ただし、化学の側にはそういう境目がありません。この記事では、なぜ無いのか、では何が書いてあったのか、そして境目が無いと分かると何が変わるのかを順に見ていきます。
抽出
抽出の解説は、たいてい「正しい湯温」「正しい挽き目」から始まります。ところが公表されている実験を並べていくと、変数の値そのものを当てにいく考え方は、かなり早い段階で行き詰まります。この記事は、コーヒー抽出についていま何がどこまで確かで、どこで割れていて、何を誤りとして取り下げたのかを一望できる形にまとめたものです。
焙煎
焙煎の知識は、温度の表と色見本と「◯◯理論」という形で流通しています。ところが査読論文の側から読み直すと、そのいくつかは支えを失い、いくつかは残り、いくつかは「まだ誰も測っていない」ことが分かります。この記事は、そのどれがどれなのかを一望するための地図です。結論と、その確からしさの度合いだけを置きます。個々の論拠は、それぞれの記事にあります。